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桜沢琢海・料理の誕生

食文化に造詣の深い桜沢琢海が綴る美食事典

マストゥニコーラ(MASTUNICOLA)

トッピングはバジリコの葉、チーズと豚の背脂。古い時代のピッツアは、オリーブ油よりも豚の背脂が使われていたようです。豚の背脂はイタリア語で一般的にラルド(Lardo)と言いますが、ナポリではストルット(strutto)とも呼ばれていました。背脂の上質なものは、オリーブ油に匹敵するほどオレイン酸の含有率が高く、ヘルシーな脂なのです。
マストゥニコーラは、別名バジルピッツアと呼ばれるくらい、バジルの風味が全面に押し出されたものです。で、このピッツアも、ナポリを訪れた国王夫妻謁見のときにエスポジトが献上した3種類のひとつ。トマトが入ってないぶん、生地がサクサクぱりっと焼けていて、香ばしい! 
さて、トマト抜きのピッツアは「白ピザ」、ピッツア・ビアンカ(Pizza Bianca)と呼ばれています。トマトはヨーロッパ原産のものにあらず。南米からスペイン人が持ち帰って、食料として普及するまでに、時間がかかりました。トマトが無い時代はピッツアはみんなピッツア・ビアンカだったのです。