桜沢琢海・料理の誕生

食文化に造詣の深い桜沢琢海が綴る美食事典

ムリガトニー(Mulligatawny)

英国人をはじめ、ヨーロッパの人々が好むカレースープです。ムリガトニーとはインドの言葉でペッパーウォーター、つまり香辛料の飲み物といった意味。ですが、レシピのバリエーションは山ほどあります。バリエの一つとして、刻んだ茄子とりんごに細切れの鶏肉を炒め、カレー粉で味付け、チキンブイヨンと炒め玉ねぎを加えて、最後にミルクでマイルドに仕上げたのが好きです。野菜はセロリや赤ピーマンなども刻んでいれるといいでしょうね!あとレンズ豆を入れるとインドっぽくもなりヨーロピアンぽくもなります。ミルクは牛乳よりココナッツミルクの方がエキゾチックに仕上がりますがハーフ&ハーフでもいいかも。イギリスではここにライスを入れたりパスタを加えて煮込んでとろっとしたスープにしますが、日本人向けにはさらっと作ってごはんにかけた方が評判はいいです。

おいしいカレー

インド生まれのカレーライスですが、日本人の国民食の地位をしっかり築いていますよね。おいしいカレーは人それぞれに定義があるでしょう。かつての私は、カレーはとにかく辛いことに執着してましたが、このごろは旨味と甘みがあって、マイルドなカレーが好きになっています。

ピリ辛海鮮納豆スープ

 これは、四谷の韓国料理店で教わったスープをヒントにアレンジしたもの。上記プルコギとも良く合います。作り方は手抜きともいうべき簡単レシピにアレンジしました。
 鍋に、サイマキ海老かブラックタイガー(冷凍でOK)を解凍ついでに水から殻ごと茹でて、いいダシが出たら、お好みの海鮮(ホタテやイカなど)を入れて煮込み、さらによいダシが出たら、ヤンニョン(市販の味付け辛味噌)と納豆を入れて味を見ます。最後にキムチをどばっと入れて、刻みねぎを散らせばできあがり。市販のチゲ鍋のダシなども活用できます。
 


 

フライパンで簡単プルコギ 

 専用鍋がなくても、家庭でならフライパンを使って、けっこうおいしいプルコギが作れます。釜山の郊外のお店で教わった作り方を自分流にアレンジしています。
 決め手はおいしいタレに予め肉をしっかり漬けておくことに限ります。で、おいしいタレですが、基本は醤油+ごま油+砂糖。分量はアバウトでいいと思います。ボウルにすき焼き用の肉(私は廉価な赤身の多い切り落とし)を入れます。おいしいので、1人120〜150㌘は食べられますよ。で、まず、醤油は肉全体に行きわたるくらい。あんまりざーっとかけないでおきます。次にごま油。これも肉全体になじませる感じで。油は控えめにと思わず、やや大胆に。次に砂糖ですが、これはかなりたっぷりかけます。うっかり多すぎても平気です。でこの時点でまずは調味料と肉を混ぜてなじませ、あとは好みですが、私は焼酎(ウイスキーでもブランデーでもいいですよ)、みりん、そしてお酢も適量入れます。まあ、そんなに多くは入れません。みりんはツヤ出しに、酒や酢は肉を柔らかくして香りよくしてくれます。で、最後ににんにくのすり下ろしを入れるのですが、にんにくを控えめにして、りんごや梨を摺って入れてもいいでしょう。酵素の働きで肉が軟らかくなるのです。で、肉は冷蔵庫で最低2時間漬け込みます。
 さて焼くときは、まず、漬け汁をまずフライパンに少し移して、それで、もやしやきのこ類をしんなり炒めます。好みでピーマン、にんじんもありですが、シンプルに、もやしたくさんでもいいと思います。で、野菜がしんなりしたら、それを大皿に移します。野菜から出た汁はフライパンに残しておき、そこで、肉を漬け汁ごと炒め煮にします。トッピングは細い小ねぎを散らして。
 これを、コチュジャン、サンチュウで包んで食べる。あればエゴマの葉も。ごはんも一緒に包んで食べればなお食が進みます。

プルコギ

 プルは火でコギは肉。なので「焼き肉」と訳してしまうけど、日本で食べる「焼き肉」と、本場のプルコギは随分違う。本場のプルコギは、焼くというより、漬けダレと野菜から出た汁と一緒に、肉を煮込む感じ。グリル網でなく、円形の専用のプルコギ鍋を使います。ジンギスカン鍋に似てるけど、もっと汁と肉が早くなじむように設計されてるんですね。日本でおなじみの焼き肉はむしろ「カルビグイ」という方が似ています。

マイブームは“プルコギ”

 近所のミートショップは、特価のお買い得品でも、なかなか質がよい。国産の牛肉でも、スーパーで買うよりさらにお得感がある。
切り落とし肉でも赤身が多いときには、迷わず買ってきて、韓国のプルコギ風にする。お野菜もたっぷり食べるように組み合わせれば、ヘルシーな献立。

こ寿々のわらび餅

 鎌倉にある手打ちそばの店「こ寿々」の名物です。おそばもおいしいけど、このわらび餅を目当てに食べに行く人も多いそうです。しおりによると、「わらびの根からとった稀少なわらび粉を使うことにより、独特の香と透明感、とろけるような食感」をつくりだしているといいます。確かに、ぷるるんとした弾力と粘りがあって、何もつけずに食べても清涼感がありました。冷蔵庫でつめたく冷やし、黒蜜ときな粉をかけて食べたらさらにおいしくいただけました。
 実はわらび餅は子供のころから大好物。小学校から帰ると3時のおやつに母が作ってくれました。確か夏場は「わらび餅」、秋になると春までは「白玉団子」だった思い出があります。両方ともきな粉と砂糖をかけて食べました。黒蜜みたいなおしゃれなものはなくて・・・・・・。それでも幸せなおやつタイムでした。